redevelop of 写真とベルクのあいだで/写真家迫川尚子公式サイト




署名用紙.JPG







3分ビデオ
そこにある、ベルク
(レイバーフェスタ2008)

9.1.31


映画「フツーの仕事がしたい」
の土屋トカチ監督が、ベルクを撮る。




地図にないお店

9.11.9


どういうこと?

(花崎会長は、国鉄のDNAをお捨てになったらしいが、
これはもろ、国鉄のイジメ体質では?)


ルミネエスト上層階、7&8ダイナーは
元々SHUNKANというMYCITYがプロデュースした
セレブ向けレストラン街でした。
責任者だった当時の営業部長は、
10年愛される街をめざすと宣言しました
テナントは定期で入りました。
10年契約だったという話です。
新宿駅のような一等地で10年は、
今では異例の長さ。MYCITY時代は
まだ良くも悪くものんびりしていました。
ただ、この壮大なプロジェクト、
失敗したら、ビルごと
ルミネに受け渡すという密約が
あったとか。営業部長にしてみれば
最後の大博打だったのでしょう。
しかし、駅利用者が慌しく出入りする
駅直結商業施設で、これ見よがしの
「高級志向」なんて、浮いた
感じにしかなりません。大成功には
程遠かったと思います。ルミネが
MYCITYを乗っ取った時点で、SHUNKANや
B2のフードコートは5年くらい契約期間が
残っていたはずですが、フードコートの方は
あっという間になくされましたね。最後に
一店舗だけ残り、ビルの管理下にある洗い場と
ホールがまず閉鎖されました。ホールは部分的に
機能していましたが、店の存在感は
なくなりました。しばらく細々と
営業していましたけれど。
紙の食器を使ったりして。
最後に話がついたのか、
その店が出ていく時にオーナーが
うちにご挨拶にみえました。
「頑張って」と。
7、8店舗集まるフードコートは、
全部BEAMSになりました。
SHUNKANも、いくつかの店が出て行きました。
出て行かされたのか、自主的に出たのか
はわかりません(店によるでしょう)が、
今もSHUNKAN時代からある店で
ルミネから出て行けと言われている店が
あると聞きます。
若い女性をターゲットに
絞るルミネとしては、
カジュアルなレストランフロアに
一刻も早く変えたかったのでしょう。
ただMYCITYがルミネになって3年、
単純に計算すればあと2年契約が
残っているはずです。裁判にも
なっているようですが、
動向が気になります。
まあMYCITYとルミネ(JR?)の間に
どんな約束があったか知りませんが、
テナントが莫大な協力費を払い、
多大な労力をかけて店を立ち上げるのは、
10年20年という長期的展望があるからです。
失敗の原因が店にあるなら、あきらめも
つきます。ビルの計画そのものが
ピントはずれであろうとなかろうと、
続けられるかどうかは結局、
一つ一つの店の努力にかかっているのです。
まだまだ続けられる店もあるのに、ビル側の
都合でいきなり「なかったこと」にされるなんて、
話が違うにもほどがありません?



(井野)



タケルンバ卿日記 ルミネエストに行ってきた

日刊サイゾー『契約書に効果なし!?』

記事のコメントに、「ヤクザに似た」という
表現がありますが、ヤクザに失礼じゃない
でしょうか?ヤクザには仁義というものが
あります。それなりに筋の通し方ってものが
あるのです。この記事を読む限り、筋も何も
通っちゃいないのではないでしょうか








迫川尚子写真展
『おまつり'10.9.18』

10.9.26

罰金というのは、国(裁判所)が法に則って決めるもの。
個人や企業が勝手に決めるのは違法行為でやってはいけないことだそうです。

ルミネさんが勝手に決めた(防災の)罰則・罰金。
先日相談した弁護士からは「ありえない」と言われました。
合意の上でならまだしも、一方的な告知で「誠実な」(と通知書に勝手に書かれている)もないもんだ、と鼻で笑ってました。
ルールというのは、一方的に作るにしても、合理性がなければダメ。例えば、「火事を起こしてはいけない」なら誰もが納得がいく。
それでも、罰金はダメ。管理権の乱用にあたるそうです。
法的には、私たちテナントは家主ルミネに「従属」していることになるそうです。売り手と買い手の立場は逆転することがありますが、家主と借家人の立場は逆転することがまずない。ベルクがルミネの家主になることはまずありませんね。そういう関係を、つまり家主と借家人の関係を法的には「従属」関係と呼ぶそうです(ベルクはルミネの従属物じゃない!と今までさんざんいってきましたが、テナントの立場的が圧倒的に弱いのは確か)。経営者と労働者の関係もそうです。
従属関係にあるからこそ、家主は借家人に勝手なルールを強制できない、というのが法的な考え方だそうです。特に、罰金というお金にかかわるルールは認められないそうです。だから、経営者が遅刻したアルバイトから罰金をとるのも(一時間遅刻で一時間分の給料カットなら、罰金ではないが)、法的には認められない。すなわち、法的に争われれば経営者のほうが負ける。
「国家権力じゃないんだから」と弁護士は笑ってました。「でも、これが国鉄の体質なのでしょう」。

映像でご覧のように、ルミネエスト営業部の説明によれば、この罰則・罰金はルミネエストだけでなく、ルミネ全体で決まったそうです。要するに、ルミネ全体の問題なのです。


誹謗・中傷は、契約違反なので、テナントは家主に何をされてもビビリがちです。ただ、「誹謗・中傷」と「告発」は違います。
弁護士も、私たちが店の壁新聞やホームージで問題提起するのは、「表現の自由」で守られていると言ってくれました。
「表現の自由」って、それだけ聞くと「何を表現してもいいのか?」という議論になりそうですが、もちろん、何を表現してもいいわけではありません。ただ、何を表現するべきかは個々、あるいは批評家の判断にゆだねるべきであって、少なくとも(国家)権力にゆだねるべきものではない、ということだと思います。
つまり「表現の自由」とは、表現者に向けた言葉ではなく、権力に向けた言葉なんですね。
そこがわかっていないと、権力に奪われてしまう危険がある。

実際、西暦2000年あたりを境に、法律自体が権力側に都合よく変えられ始めた。
定期契約を認める法律が、まさに2000年に施行されています。やはりそれは象徴的なことだったんですね。



新宿「ベルク」の件、これが本当ならば大変なことだ。普通借家契約をしている借り主は守られている。家主が定期借家への切り替えを迫っても違法。これを許せば定期借家制度を作ったこと自体が批判されかねない。

中村てつじ民主党参議院議員


中村てつじ議員は、政治家として定期借家制度をすすめられている方とうかがっています。上は中村さんが最近ツイッターでつぶやかれた言葉です。

「切り替えを迫っても違法」という言葉に、私は改めてはっとさせられました。
テナントの場合、両者が「合意」すれば、切り替えは認められることになっています。
しかし、「合意」の実情がかなりビミョーです。
密室で「(家主が)ルミネに変わりましたから、契約も変わります」とサインさせるのは、果たして「合意」と呼べるのでしょうか?
「かなりきわどいやり方だ、問題になるのでは」と言う専門家もいました。ソフトバンク(代理店)が、その点でルミネさんと争って裁判で負けました。もし、ソフトバンクが勝てば、定期契約制度そのものが揺らいでしまう。だから勝てないだろう、とソフトバンク側の弁護士は、判決前に敗北宣言していました。
社会問題にでもならない限り、制度を揺るがすような判決は裁判官も避けるでしょう。そのくらいにソフトバンクの戦いは、孤独な戦いでした。


(井野)


写真&音響 by 迫川尚子



ルミネさんからの通達=新規罰則、罰金が認められない理由

新ルールに抗議

自分の店にいるだけで罰金をとられるルミネ



あ●る●通●知●書

10.10.2



理由なき立ち退き

 ルミネさんはなぜ私どもベルクに立ち退きを迫るのか?(営業継続を求める請願書に1万人以上の署名が集まり、当面「延期」とされましたが。)理由がよくわからないというところに、この問題の新しさがあります。従来は立ち退きといえば、借家人に家賃滞納のような「違反」があったり、家主に建て替えなどの「事情」があったりしたものです。それがない。辛うじて聞き出せたのは、「ファッションビルだから」の一言。え?そりゃベルクは飲食店だけど…だから?と聞き返したくなる理由です。同じく退店を勧告された着物屋の主は、「ルミネのカラーに合わない」といわれたそうです。ルミネのカラー。私も聞き覚えのある言葉。具体的にどんな色か伺ったこともあります。その答えは「ルミネが決める」でした。テナントの命運はルミネさんの胸三寸で決まるらしい。
 とはいえ、正当な理由がなければ家主とてテナントを勝手に追い出すことはできないはず。ルミネさんも最初から出て行けとはいっていません。2006年に新宿駅ビルのマイシティをJRの子会社であるルミネさんが乗っ取ってから、全テナントに対して徐々にすすめたことがあります。契約の変更です。私どもも「家主が変わった関係で契約も変わります」と新しい契約にサインするよう促されました。表向きは「推進」ですが、いきなり「とにかく来て下さい」と密室に呼び出し、事務手続き上必要であるかのような口ぶりなのです。でも、そこには営業権の消失という重大な変更が含まれていました。勿論、契約書に「営業権」という言葉は使われません。契約内容をよく見て法律と照らし合わせれば、そこで営業権を失う(自動更新が解除される)とわかるのです。営業権がない以上、出て行けといわれたら出て行くしかない。理由なんてもはやどうでもいい。
 200以上あるテナントのうち、うちを含む4店舗を除いて全てのテナントがその契約に応じました。営業権というテナントの命綱をなぜ手放したのか?私もそうですが、店の経営者は案外法律にうとい。サイン一つで失うとは、サインしてみるまでわからなかったのです。2000年、所謂定期という自動更新されない賃貸契約を認める法律が施行されました。ただテナントには余りに不利な契約なので、駅前のような一等地でもない限りそうそう浸透しません。だからいまいち認知度も低い。にしても、事前に専門家に相談すべきですが。ソフトバンク(代理店)さんのように、知りながらサインしたテナントもあります。契約は形式的なもので「追い出しはない」という口約束を信じ、家主の顔をたてたのです。でも結局追い出されました。裁判に持ち込まれて。法廷では書面が何より優先されます。
 ルミネさんは「テナントを毎年20%入れ替える(共存共栄ではなく、使い捨て)」と明言しています。それを裏打ちする法律もいつの間にか成立していたのです。ベルクは一店舗のみ、そこが私どもの生活の基盤ですから、慎重にならざるを得ません。新しい契約にサインはしませんでした。「だったら出て行け」というルミネさんは、法律すら超越していますが。新規の店がルミネさんの経営方針(短期決戦)に納得した上でサインするならまだ筋は通ります。でも長年その場所に根をはり、営業を続けてきた店が突然半ば強制的にサインさせられるのはやはりおかしい。
 法律にも問題があります。定期を認めたことで、一等地ではそれが一般化しました。しかし2、3年の定期では設備投資の必要な飲食店に展望は持てません。元をとるのに5年はかかるからです。特に零細の個人店には厳しく、大きな駅の駅前は大手チェーン店で埋め尽くされつつあります。「時代の流れ」「自己責任」という言葉の前で皆さん萎縮していないでしょうか?私どものように「おかしいものはおかしい」と声をあげる店は例外的(特殊)です。だからなおさら社会問題化しにくいのでしょう。



新宿「ビア&カフェ・ベルク」店長 井野朋也
(月刊まなぶ2010年9月号より)

音楽 by 井野朋也
●ベルク通信関連記事


2010年7月号「11月3日有楽町プレスクラブで記念パーティーを!」(迫川)

2010年9月号「アメリカからの輸入品」店長(井野)






インターネット中継
2010.10.28
法務委員会

10.10.29


「新宿ベルク」の問題。民間同士の個別紛争なので政治家が
直接関わるべき案件ではないと思うが、一般論として定期借
家が悪用されれば制度全体の不信に繋がることを私は懸念
している。法務委員会で質問をした。

(民主党議員 中村てつじ)


定期借家制度見直しの第一歩へ

10月28日、参議院の法務委員会において、
中村てつじ民主党議員が「新宿ベルク問題」にふれ、
定期借家制度に関する質問をされました。

「普通契約から定期契約への切り替えの強要に応じる
義務はない」とする黒岩たかひろ法務大臣政務官の
ご答弁を、かみしめるようにうかがいました。

ベルクに限って申しますと、ルミネさんは「定期への
切り替えを(現在)強要していない」とおっしゃるかも
知れません。しかし、現在、私どもに「契約破棄」を
突きつけられているのは、私どもが切り替えに応じな
かったからではないでしょうか。それも「強要」にあた
るのではないでしょうか。

もちろん、「切り替えに応じなくていいかどうか」という
質疑応答そのものは、定期借家制度の原則を確認する
のみで(弁護士もしなくていいと答えます)、根本的な問題
にまで足を踏みこんでいません。

根本的問題とは、今や家主の立場が強い場所ほど(新規)
テナントの営業権が守られないという矛盾、個人で新たに
飲食店を開こうとした場合に大きく立ちはだかる問題です。

ただ、今まさに家主から定期への切り替えを求められている
既存テナントにとっては、大きな励みになるはずです。

また、定期借家制度のあり方を見直す第一歩になればと願わ
ずにはいられません。


(ベルク店長 井野朋也)



映像 by 迫川尚子
音楽 by 井野朋也



中村てつじの「日本再構築」





ルミネ名言集

11.1.4


ルミネ名言集「それがルミネです」

今を時めくファッションビルの雄、ルミネさん。
その輝かしいトップ経営陣の方たちが残された名言(迷言)の数々。
是非ご鑑賞下さい。


「首を吊ることにならないようにね」07.2.6

ルミネさん(エスト前副店長=現店長)が、ベルク副店長の迫川を突然、用件も明かさず密室に呼び出し、放った一言。その時、ルミネさんは当店に契約を「普通」から「定期」へ変更するよう迫った。一言で言えば、営業権の剥奪。店の命運にかかわる問題で、即答できず。それに対し、このように命の危険をほのめかすのは、弁護士さん(複数)によれば、「りっぱな脅迫」だそうだ。


「昨日の自分を否定する」07.2.25

ベルク18年の営業実績(前年比を常にクリア、坪効率が常にトップ)について迫川がご意見を伺うと、ルミネエスト前店長はこう答えられた。「昨日の自分を否定する。というのが、ルミネ社長のお考えだ」まるでお題目を唱えていられるかのよう(ご自分のお考えはどこ?)だった。確かにカッコイイ言葉ではある。自分に向けるなら。他人に向けて言う言葉ではない。


「それがルミネです」07

オーナーがマイシティからルミネに変わると、ファッションビルという名目で駅ビルから食品売り場も書店も文房具店も一掃された。不便になったという声は今でも多い。前エスト店長によれば、「なぜ?」というお客様の問い合わせに使われるのがこの決めゼリフ。何を聞かれてもこう答えておけばいいという意味では、クレーム対策上、最強の言葉かも知れない(説得力があるかどうかは別にして)。‥

「よそ者が入ってしまう」07.2.25

ルミネエスト前店長によれば、元々1Fにあったスターバックスさんを2Fに移動させた理由がこれ(お尋ねした訳ではないのに、教えて下さった)。一瞬、「よそ者」の意味がわからず。お話をうかがううちに、ターゲットであ20代前半の女性以外のお客様はルミネさんにとって「よそ者」なのだとわかる。つまり、ベルクは「よそ者だらけの店」なのだ。


「(ベルクには)守秘義務がある」7.10.24

立ち退き問題について、公表の意思があることを事前にルミネさんにご報告したところ、ルミネエスト前店長は「どうぞ」とあっさり承諾。その後、あわてて撤回(こちらが本気とわかって?)。その理由がこれ。本当にそん義務があるの?と迫川が念を押すと、「ない」とまたもや前言撤回。

「『ルミ姉』が無断使用されている」7.12.20

ルミネさん(エスト前店長)からベルク店長の井野に配達証明で届けられた「警告書」の中の一文。「無断」も何も、ちょっと調べればわかることだが、「ルミ姉(ルミネの商標)」の「使用」すら私たちはしていない。どう使用しろというのか。ルミ姉ドッグとか?ルミネさんさえよければ…。とにかく無断使用はルミネエスト前店長の単なる思い違い。それに関するルミネさんからの謝罪は今のところ一切ない。


「ルミネとしては、深刻に受け止めている」08.2.4

全テナント対象の店舗診断の結果を受けて。ベルクの点数は悪かった。うちも深刻に受け止め、具体的にどこがどう悪いかルミネエスト前店長にお尋ねしたところ、「一人でも悪いと感じる人(調査員のこと)がいれば、深刻なのだ」と堂々めぐりなお答え。どうやらルミネさんの「店舗診断」は、店を向上させるためというより、追い出すために行われるようだ。

「通行人が入ってしまう」09.2

B2(ベルク真下)のトイレが閉鎖された理由。ルミネエスト営業部からそうご説明があった。私たちの商売は、その「通行人」のお陰で成り立っているのだが。ちなみにトイレのあった場所は、現在、B2ファッション売り場の部になっている。


「罰金1000万円!!」10.8.27

館内における新ルールの説明会で、ルミネエスト現店長からいきなり「罰金1000万円」とか「契約破棄」というケタ違いの罰則(例えば、たった一秒の「居残り」でも、初回で罰金)を課すことが明かされる。黙っていたら認めたことにされかねないので、当店社員の市原と愛染が異議を唱えた。この発言について、ルミネエスト店長は、皆の「気を引き締める」ためにオーバーに表現したのだと釈明。なるほど。それは「首を吊らないように」と同様、「りっぱな脅迫」では?いずれにしろ、罰金をとることに変わりはなく(1000万ではないにしても、50万とか100万)、法的には管理権の濫用(違法)にあたるそうだ。

「到底容認することはできません」10.12.29

同月、ベルク店内で開かれたお客様によるライブパフォーマンスに関して、ルミネエスト現店長からベルク店長に宛てられた「警告書」の中の一文。「下着姿のストリッパー」が「公衆の面前で舞踏した」ことを問題にされた。容認するもしないもルミネさんの勝手だが、そこには、「契約解除(の検討)」の一語まで含まれる。確かにそのお客様のご職業がストリッパー(しかも日本のトップダンサー)であることは伺っている。が、その日は下着姿でなく、舞台衣装を最後まで身に付けていらっしゃった。ご本人のおっしゃるように「心のストリップ」と呼ぶべきその踊りはきわめて芸術性の高いもので、男女問わず魅了し、ストリップだから「いかがわしい」「公序良俗に反する」という偏見・差別を見事に打ち砕いた。「ルミ姉無断使用」の時もそうだが、ルミネさんは思いこみだけで「脅迫」まがいの「警告書」を乱発する企業なのだろうか?

番外編「私は人間でいたい」

自主退社されたルミネエスト営業部の元社員が、館内のテナントを挨拶まわりされた時に、ぽつりと漏らされた一言。そこにはどんな思いがこめられていたのだろうか。


音楽 by 井野朋也







定期借家制度の落とし穴
……ベルク店長に聞く

11.1.14



店長、定期借家制度って、ズバリ、何がどう問題なの?
「難しいですね。借家法は」
ビミョーだよね。借りる側も貸す側も、それぞれリスクがあって。
「ケース・バイ・ケースですけどね」

借りる側のリスクを最小限に抑えるのが、今までの普通借家法。貸す側のリスクを最小限に抑えるのが、新しい定期借家法。という解釈でとりあえずいい?
「そういうことですね」
ぶっちゃけ、従来の制度だと家主は借家人を簡単に追い出すことができない。新しい制度だと簡単に追い出せる。ずいぶん、極端から極端だな。
「まあそういうことです」
ただし、世の中が丸ごと新制度に移行したわけではない。
「そうですね。契約というのは個々に結ばれるものです。その際、法的裏付けとしてどちらを利用するか、選択できるようになったということです」
選択って、誰がするの。家主?借家人?
「形式的には、両者の同意という形をとりますが」
なにその事務的対応(笑)。まあいいか。最初から期限が(自動更新なしで)1年とか2年と決まっているのが定期契約だよね。合意の上なら、追い出すと言うのも変だな。お互い割り切ってるわけだし。
「割り切った関係」
やらしいよ。
「同意とは言え、最初に決めるのは家主でしょう。選ぶのは借家人です。が、実質的には立場の強い方とも言えます」
ああ、そうか。借り手の多い所では家主の立場が強いから、家主は家主に有利な定期契約(新制度)に決める。借り手の少ない所では家主の立場が弱いから、家主は借り手に有利な普通契約(従来の制度)に決めざるを得ない。
「でも、おかしくないですか?家主の立場が強い所では、家主の立場はさらに強化される。家主の立場が弱い所では、家主の立場は弱いまま」
新宿駅ビルの家主は、けっこう立場強い?
「チョー強いです(笑)。契約書を見ればおわかりいただけると思いますが、テナントはほぼ全面的に家主の都合に従う内容になっています。それだけ家主が強気でいられる場所なんです」
しょうがないよね。あれだけの一等地なんだから。テナントも、一応納得した上で契約結ぶわけだし。
「まあそういうことです。(契約書の)ベースはうちのじいさん(初代駅ビル社長)が作ったんですけど(笑)」
祖父が孫を苦しめてる(笑)。でも店長も、おじいさんの立場ならそうするんじゃ?
「そうですね(笑)」

ただややこしいのは、ルミネが新しい借家制度にのっとって、契約自体を変えようとした所だね。
「そうなんです。普通契約を結んでいるのに、定期契約に変えると」
話をいったん元に戻すと、今は借家制度に従来型と新型と2種類あって、どっちを利用してもいい。それを決めるのは家主だと。選ぶのは借家人だと。しかし、一度結ばれた契約の法的裏付け(制度)がチェンジする。というのが、どうもよくわかんない。そんなこと、ありなの?
「おかしいですよね」
店長の言葉では、定期借家制度が悪用されている、だっけ?
「新制度が追い出しの道具に使われているのだとすれば、それは悪用ではないかと」
制度が悪いのでなく、使用法が間違っている(笑)。

「従来の制度では借家人の権利が守られ過ぎている、というご意見もわからないではないんです。元々、戦地に赴いた兵士が帰る家を失わないようにという配慮から生まれた戦時立法ですから」
その制度を作ったのも、店長のおじいさん?
「祖父は戦時中の政治家(官僚)でしたが、作ったかどうかはわかりません。でもその一味が」
一味(笑)。でも戦争の是非はおくとして、昔の政治家はまだ心があった。その戦時立法も、平和な時代には合わなくなったということか。
「どうなんでしょう。ただ、権利が守られ過ぎると言っても、借家人もそれなりに負担を背負うわけです」
お金か。敷金とか礼金。テナントの場合、権利金というのもある。
「そうですね」
いくらくらい?(笑)
「うちはん万円払いました。大借金して。お蔭様で20年近くかかりましたが、全額返済済みです」
おめでとう(笑)。そのお陰で、よっぽどの事情がない限り、営業が続けられるわけだ。いわゆる営業権ってやつ。
「問題は、サイン一つでその営業権が消えるということです。そこが落とし穴です」
それが従来型から新型に変わるということか。
「そうです。契約を途中で切り替えるということです。そこに注意してほしい。いわゆる再契約(リセット)です。単なる調整、変更ではなく」
ただ、それも同意の上だよね。
「そうです」
嫌ならサインしなきゃいい。
「そうですね」
うっかりしちゃっても、即切れるわけじゃない。
「ただ、営業権を失いますから、家主に出ていけと言われたら出ていかなくちゃなりません」
え。理由もなく?
「はい」
補償とかは。
「立ち退き料ですか?」
そうそう、それ。
「立ち退き料というのは営業権の穴埋めですから、営業権がなければ穴埋めの必要もありませんから、支払われずにすんじゃうんです」
え。待って。待って。ベルクだと立ち退き料はいくらくらいになる?(笑)
「わかりませんが、億はくだらないという人もいます」
それがサイン一つで、チャラ?
「定期契約と普通契約では、根本的に条件が違います。それをサイン一つで切り替えるののがそもそもおかしい」
住居では禁じられてるんだって?
「危険過ぎるからでしょう」
うっかりサインして、いきなり追い出されたら路頭に迷っちゃうもんね。
「私たちのような個人店もそうです」
※将来的には、住居での切り替えも検討されているらしい。
だけど、信頼関係のような気もするな。家主と借家人がちゃんと信頼関係築いていれば、どうにかなるもんじゃないの。
「うまくいってる時は契約のことなんて気にせずにすむんです。うまくいってない時ですよ。契約が物を言うのは(笑)」
そりゃそうだが。
「義理人情の世界では、契約はあくまでも予備的なものです。でも、今は何かとビジネスライクな世の中で。契約がビシバシ物言う」
世知辛い世の中だ。
「油断も隙もありゃしません」

まあ最後の決め手は、契約に法的根拠があるかどうかだ。その根拠自体が切り替えられるって、どういうこと?
「普通から定期への切り替えは、テナントにしてみれば何のメリットもない。よほどの交換条件でもない限り、不利なだけです。にも関わらず応じるとしたら、知らずにとか、うっかりとかじゃないでしょうか‥契約内容はぱっと見変わってなかったりしますから。家主に説明義務はありますが、いきなり法律の専門用語並べられても目が点になるだけです。今まで共存共栄でやってきた昔気質のテナント・オーナーは、家主の顔をたてて、よく調べもせずサインしてしまうかも」
※ルミネエストに出店されていたソフトバンク代理店さんは、定期契約の意味をよくご存知でしたが、ルミネさんから契約の切り替えは形式的なものだという説明を受け、追い出しはないという約束の上でサインに応じられたそうで、追い出しは無効と主張されました。しかし、口約束だったため、文書が何より重視される法廷では通用しませんでした。
だとしたら、切り替えは家主にばかり都合いいじゃん。サイン一つで好き勝手に追い出せて、立ち退き料も払わずにすんで。
「テナントには蟻地獄です。一度サインしただけで、二度と元の場所に這い上がれない。生き残る道は再契約ですが、それも家主が首を縦にふらない限りアウトです」
家主の胸三寸。
「知人の追い出し専門の弁護士が私にこう耳打ちして高笑いしました。テナントのオーナーなんてチョロいもんだ、こいつ(切り替え)のお蔭でボロいもんだ」
生々しい証言。
「テナントの身にもなって下さいよと言ったら、神妙な顔してましたけど」
踏んだり蹴ったりだね。
「そうですね。借金抱えたまま立ち退き料ももらえず(むしろ高額の撤去費用を払わされて)追い出されたら、責任感の強い店主は、従業員や業者さんに申し訳なくて、家主を憎むより自分を責めるでしょう」
落とし穴‥。落ちる方が悪いのか?落とす方が悪いのか?
「相手の無知や義理人情につけこむんだとしたら、落とす方がタチ悪い気がします」

何はともあれ、契約変更のサインには慎重になった方がいいね。
「まず専門家に相談すべきですね。家主にはいくらでも待ってもらって。ただルミネさんは、何度お断りしても、また呼び出して、サインしろだの何だのおっしゃるのですが」
強要じゃん。
「強要はいけませんよね。サインしない?じゃー出て行けというのも、強要の一つです」
今のベルクは、そういう状況にあると。
「20年以上ここで問題なく営業を続けてきて、4年前に家主がルミネさんに変わりました。いきなり新しい契約書にいついつまでにサインしろと迫られました。ほとんどのお店はそれに応じました。うちを含む4軒はお断りしました。そうしたらすぐ、立ち退きを勧告されました」
なるほど。でも、サインしなければ営業権は生きているわけだから、出ていくことないじゃん。
「そうです」
サインに応じた店は皆、追い出された?
「はい。進行中の所もありますが、追い出しが合法化されるので、家主は強制的に追い出せちゃうんです」
追い出されたテナントの怨念は相当だろうけど、泣き寝入りするしかない?
「残念ながら、今の法律ではどうにもならないですね。ただ、告発という手はあります(笑)」
情報の公開というのは、ベルクの一貫した姿勢だよね。個々の問題にとどめるのじゃなく、同じ問題を抱える人のためにもサンプルとして提供していく。
「いつかどなたかのお役に立てればいいのですが」
少なくとも個人店にとって、ベルクのケースは色々な教訓が含まれてるんじゃ?
「サインに応じなかった店も、殆どが個人店です。皆、何とか営業を続けています。ルミネさんから執拗に呼び出しを受けていますが」
いまだに?
「ここしばらくは、ないですけど」
みんな、呼び出しに応じるの?
「話し合いを拒否するわけにもいかないですから」
強要でも?ああ!だからルミネはいつも呼び出しのとき用件を言わないのか。
「『とにかく来い』と(笑)。『ご用件は?』『会ってから』『立ち退きに関することでしたら、こちらの意思は変わりません』『状況が変わったから、とにかく来い』」
状況が変わった?どんなふうに?
「不況でルミネの経営状況が悪化している。よって、家賃を上げる。嫌なら出ていけ、とか」
何じゃそりゃ(笑)。不況は賃料値下げの理由にこそなれ、値上げの理由にはならない。
「普通契約ならそうでしょう。でも定期契約の場合、嫌なら出ていけの世界ですから、賃料も家主の言い値になりやすいんです」
定期だと家主はそこまで強いのか!
「強い家主がさらに強化しますから」

まあベルクは普通契約だし、動じる必要ないね。
「今まで通りよろしくお願いしますと頭を下げるしかありません。ただ、今度呼び出されたら、来ていただこうかと」
話があるなら、来い!と(笑)。
「店でお話しましょうと」
お客さんにも同席してもらって?
「いいですね」
いっそ訴えるというのは?
「法廷でケリをつけるということですか?」
そう。
「裁判官という第三者に頼る?」
第三者ったって、法的効力を持つ。
「お客様は、契約に関しては第三者ですが、店の存続に関しては当事者です。私たちはまずお客様の声をうかがおうという姿勢でやってまいりました」
それが一万6千人の署名(現在)につながったわけだ。でもルミネが考えを変えないんだから、そろそろ法廷にゆだねるべきでは?
「それも一つの考えですね。08年に一万人の署名を提出させていただいて、09年にルミネさんの方から立ち退き延期のお返事がありました。10年の10月1日にルミネ新社長から、また立ち退き勧告の文書が私のところに届けられました。それに対して、今、新しい署名活動を展開しています。それを3月中に提出する予定です。その後、ルミネさんがどう対応されるかですね」
まあ焦ることはない。気長にいこう。
「ありがとうございます。よろしくお願いします」



映像&音楽 by 井野朋也





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駅ビルの家賃について

 あるお客様のブログに、ベルクの立ち退きに関して、素朴な疑問(誰もが感じそうなこと)が書き込まれていました。
 疑問は二つあって、一つは他の場所でやれば?というもの。もう一つは、なぜルミネはベルクを追い出そうとするのか?家賃の問題?(スルドい‥)というものです。
 ここでは家賃の問題についてなるべく簡潔にご説明しましょう。

 実は、ルミネさんの家賃は歩合制です。
 歩合で言えば、ベルクは他店より低い。他の新しい(定期の)お店は、20%。ベルクは15%くらいです。ただ、賃料そのものはベルクはどのお店よりも高く払っています。
 マイシティ時代、駅ビルの家賃は売上が上がればある程度歩合が下がり、売上が下がればある程度歩合が上がるスライド方式をとっていました。つまり、ベルクは今でもこの昔ながらの方式をとらせていただいているのです。売上が最低基準より遥かに高いため、そのぶん歩合が多少低いのです。
 このスライド方式により、ベルクのような高回転低価格高品質の業態(早い・安い・うまい・安心)もかろうじて成り立っています。
(デパートのようないわゆるケース貸しでは家賃の歩合制は当たり前なのでしょうが、本来、努力した人に努力の成果に応じて利益が還元されるのが歩合制度であって、努力の主体ではない家主に利益が還元される家賃の歩合制度は、歩合制度とは呼べないと思うのですが、ここではあえてそれはさて置きます。)
 ただルミネさんから、ベルクも今賃料を歩合で20%と言われています。ルミネ方式は、どんなに売上が伸びても20%です。つまり家賃も上がるわけです。
 これはベルクのような薄利多売(食材コストが50%前後)の店には特にきつい方式です。
 売上が伸びれば、そのぶん材料費も人件費も水道光熱費も上がります。しかしふつう家賃は上がらない。それで何とかなるのです。家賃も上がるとなると、何かを削らざるを得なくなります。手っ取り早いのが、材料費とか人件費。サービスの低下につながるものに手を出します。
 まっ先にお客様に影響が出るのです。
 それではベルクはベルクでなくなってしまいます。それを理由に、歩合の一律化はお断りしています。
 細かい数字の話になってホント申し訳ございません。でも、大事なところなのでご辛抱下さい。
 15%から20%へのアップというのは、年間で1000万円の賃料値上げになります。ベルクは現在、年間で3000万円ルミネさんにおさめています(売上は年々伸びているので、賃料も必然的に上がっています。ベルクの一坪における売上は、館内でベスト3に入ります)。それが4000万円になるのです。このような法外な値上げは、通常、法廷では認められません。ただ家賃って、家主と借家人が合意さえすればいくらでもいいことになっています。だから「合意しろ」とルミネさんはおっしゃるわけです。合意は命令されてするものじゃないですけれどね。
 組織の論理として、例外は認められない、嫌なら出て行けということでしょう。
 しかし、ルミネさんにご理解いただきたいのは、スライド方式の歩合制が、ターミナルの中にベルクのような奇跡の店を生んだということです。この方式なら、コンスタントにルミネさんに高い家賃をお支払いすることができる。大勢のお客様にいいものをリーズナブルにご提供することができる。私たち自身、楽しく働いて生活することができる。みんなが幸せな関係になれるのです。
 家賃一律20%は、この幸せな関係を破壊することにしかなりません。


※本当は、歩合の家賃って、それ自体おかしいと思いますけどね。


(井野)






2回目の避難訓練
ルミネエストB1 J階段

10.10.24





昨年の3月、ルミネさんによりベルクの裏の非常口が閉鎖され、
その下(B2)のトイレが廃止されて、そこはビームスさんの店舗
の一部になりました。最寄のトイレがなくなり、お客様には多大な
ご迷惑をおかけしています。そして、非常時の不安も増しました。
映像は昨年に続き、2回目の避難訓練です。こちらから頼まないと
訓練はしてもらえないので、何度もお願いして実現しました。ご覧
のように、これがルミネエストさんの防災センターによる避難訓練
の様子です。さあ、不安は少しでも軽減されましたでしょうか?



(井野)



○社員へのメール

非常時に冷静さを保つのは難しいでしょうが、
次のことを頭に入れておく必要があります。

ベルク周辺で火事が起きたら、ベルクと本陣の
あいだのフードポケット入り口ですね、そこの
シャッターは閉まると思います。が、横の潜り戸
は開いてますので、人が殺到するでしょうが、
何とか誘導して順番に避難してもらうしかありません。
そこが万が一使えない場合、裏から避難することに
なります。

地震で火事が同時多発的に起きた場合、B2からの
避難者もいるでしょう。ただ、大半は表から、ビームス
店内にいるお客様もやはり殆んど店頭の潜り戸から避難
することになると思います。B2の裏階段を使う人が
いるとしても、基本的にビームスのお客様かスタッフだと
思います。

裏を使わざるを得ない場合、心配なのは鉄扉が開くのか
ということ。しかも地上に出るまで4つの鉄扉があると
思ってましたから、スムーズに避難できるのかという
ことでした。正直、今回の避難訓練でその心配はあまり
軽減されませんでした。

ただ、二番目の鉄扉(裏の小部屋の扉)が完全に撤去されて
いたので、扉は4つでなく3つになっていました。

一番パニクりそうなのが最初の扉の鍵です。保安が一応遠隔
操作で鍵を解除してくれることになっていますが、解除されて
いない場合、自分で取っ手の下の赤いプラスチックをひっぱって
壊し、その奥にあるレバーをまわして解除しなければなりません。
非常時でなければ、そんなに難しいことではなく、一回でもレバー
を見てまわしている人なら問題ないですが、そうでないとパニック
状態の中でプラスチックも壊さなければならないし、意外とあわて
そうです。

映像に撮りましたので、皆さんに確認しておいてほしいです。

2番目の扉は鍵がかかっていません。ただし最初の扉は押し、次の扉
は引くので、混乱する可能性は高いです。

地上に登って、最後の扉は鍵がかかっていますがプラスチックが
付いていないので、比較的簡単に開けられると思います(これも映像で)。

いずれにしても、避難口としては手間がかかりすぎるので、営業部に
さらなる改善を求めるとともに、消防署にも相談しようと思います。

ただ現実問題とて、社員各自、再度シミュレーションしておく必要はある
と思います。

全スタッフにも伝えていきましょう。今後は新人研修の一環にした方がいい
かもしれませんね。

よろしくお願いします。



映像 by 迫川尚子
音楽 by 井野朋也


トイレが廃止されたいきさつ↓ 拝啓ルミネ花崎社長様/忘れられない場所(ベルク通信2009年3月号)

ボヤと非常階段とトイレ(お客様による応援ブログ、LOVE!BERG!)

※2011年10月1日現在、ベルクの隣にJRがルミネにつくらせたトイレがある。まわりの店が夜11時まで営業しているにもかかわらず、夜9時ジャストに閉鎖され、使えなくなるというシュールなトイレだ。





ダメ押しの通知書

11.3.26



お客様へのご報告とルミネ経営陣へのお願い

当店ベルクは、3月いっぱいで退店しろとルミネさんから再三迫られています。理由は依然何もおっしゃらずに。
もちろん、出て行く理由がない以上、私どもは今後もこの場所で商売を続けるつもりです。法的にも、その権利は認められています。
ところが昨日‥お客様にこんなご報告をしなければならないことが情けなく申し訳ない思いですが、ルミネ本社の谷社長からだめ押しのような文書が届きました。
長いものですが、要約すると、ベルクは
①何度も出て行けと言ってるのに出て行かない、
②賃料の(べらぼうな)値上げにも応じない、
③お客様の行儀が悪い(お酒の席でお客様が踊られたことを‥どなたの迷惑にもなっていないのに‥問題にされている)、
④ルミネの新ルールに同意しない
つまり「非協力的」だと。どれか一つくらい従え、というニュアンスです。
しかし、どれも一方的で無理な要求ばかりです。
例えば④の新ルールですが、ルミネさんには罰金制度というのがあって、ネームプレートを紛失したら何千円という実費以上のお金を罰金の名目でとられます。それ自体違法性が疑われますが、その罰金の金額を全面的に大幅にアップするというのです(口頭では、1000万という金額も提示されました)。「新ルール」には、他に全面禁煙などが含まれます。
しかし、いくらビルのオーナーだからといって、テナントの同意なしにルールを勝手に変更することはできません。それに従わないからといって、「非協力的」と非難するのはほとんど言いがかりに近いのではないでしょうか。
今は、ルミネの社員も私どもスタッフも、節電対策や物資調達に追われながら手を取り合い励まし合って現場を守っています。こんなイヤがらせともとられかねない文書は、そんな現場の努力に水をさすばかりです。どうか谷社長を始めルミネ経営陣には、そのへんのご配慮もお願いしたい。
大震災から二週間。皆、さすがに疲れが出てくる頃です。だからこそ皆でフォローしあい、笑顔といたわりの精神で何とかこの非常事態を乗り切っていきませんか?





ベルク店長 井野朋也

アニメ&音楽 by 井野朋也

















サイゾーの取材をうける

10.10.21




日刊サイゾー 戦うカフェ「ベルク」はルミネの"異物"?


















なぜ駅前から個人店は消えていくのか?それは果たしていいことなのか?

























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↑「最後の決め手はお客様」
(写真をクリックして下さい)

ルミネからの立ち退き勧告までの経緯

06年4月
新宿駅東口の駅ビルのオーナーが、株式会社新宿ステーションビル(MYCITY)から、JR東日本の子会社である株式会社ルミネに何の前触れもなくかわる。ビルの名前はルミネエストに。
ルミネエスト営業部が、館内全テナントの全スタッフに「ルミネのルールに従う」という誓約書にサインして提出するよう通達。私たち(ベルク・スタッフ)は、用意された誓約書の「ルミネで勤務する」という箇所を、もう少し厳密に「ルミネ館内のテナントで勤務する」に変えてもらうよう要望。期日が迫っており、時間がないという理由で断られる。
しかし、誓約書である以上、あいまいな表現は極力避けたいと再度要望。本社から承諾のお返事。

06年4月
ルミネ本社によるテナント向き説明会で、パンフレットに一行だけ書かれていた「定期契約の推進」がそのまま読み上げられる。それ以上の具体的な説明はなかった。

06年の夏頃
ベルク店内の天井の一部を修復(塗装)するため、ビルに夜間作業の申し込みをしたところ、ルミネエスト営業部が「契約の話がすむまで認められない」と阻止。しかし、その時点で「契約の話」自体初耳だった。また天井の修復とどう関係するのかもわからなかった。

07年2月6日
ルミネエストの幹部から呼び出しの電話があり、ベルク副店長の迫川がルミネエスト営業部に出向く。用件は明かされず、とにかく来いと。別室に通される。
「駅ビルにおけるカフェ・ベルクの役割」という企画書をルミネに(自発的に)提出。
ルミネエスト木村副店長から「契約を変えてください」といわれる。ルミネ側の用意した契約は、2年の定期契約。お断りする。
「他のお店はみんな定期契約に変えている」というのが、ルミネ側の契約変更の理由だった。
また、計画中のJR新宿駅の東西自由通路に「ベルクはひっかかる」とも。しかし、自由通路の図面はすでに新宿区役所がネット上に公開しており、ベルクのある場所は構造上かすりもしない。
「首を吊ることにならないようにね」(言うことを聞かなければ、命の保障はない?)という意味深な発言も。迫川はあくまで笑顔で対応。

07年2月13日
ルミネエスト営業部に迫川が出向く。
ベルクの営業努力(ルミネの営業方針に合わせた若い女性向き新商品開発など)についてお話しする。
ベルクが過去、メディア(グルメ系からアート系、ファッション系まで多岐にわたる)に紹介された記事を集めたファイルを提出。

07年2月25日
ルミネエスト木村副店長から直々に電話で呼び出しがあり、迫川が社員とともにルミネエスト営業部(以下、営業部)に出向く。別室に通される。
ベルクの飲食店としてのこだわりと歴史、駅における存在価値などについてお話しする。
木村副店長から新しい契約にサインするよういわれ、お断りする。

07年4月25日
ルミネエスト木村副店長から直々に電話で呼び出しがあり、迫川が社員とともに営業部に出向く。別室に通される。
木村副店長から別のフロアへの移動をすすめられる。場所の移動は契約変更を意味する。実際、再度「定期契約に変えてください」とも。お断りする。
木村副店長から、新しい契約にサインしない理由をたずねられる。「2年では短い?3年では?」と。しかし契約そのものを変える必要性がないので、何年という誘導尋問にはのらず。

07年6月25日
ルミネエストから電話で呼び出しがあり、迫川が社員とともに営業部に出向く。別室に通される。
この日、ルミネ側の担当がルミネエスト木村副店長からルミネエスト上野店長にかわる。ルミネ側の要望は、契約変更ではなく「退店」だった。それまでの経緯から、契約変更に応じない以上出て行けという意味(契約変更の強要)にもとれ、お断りする。

07年10月24日
ルミネエスト上野店長から呼び出しの電話があり、迫川が内容について確認すると、「電話では話せない」とあくまでも明かさない。「何度お会いしても、私どもの答え(営業を続ける意思)に変わりはない。また、何よりお客様の声が優先されなければならない」とお客様への公表の旨を伝える。上野店長は最初「どうぞご勝手に」だった。その後、契約に関することは「守秘義務がある」と前言を撤回。しかし、「私たちに守秘義務はない」と反論すると、「ない」と上野店長も認めた。

07年10月29日
ルミネエスト上野店長の呼び出しに応じるため、迫川が社員とともに営業部に出向く。別室に通される。
上野店長から再度「退店していただきたい」といわれる。お断りする。

07年11月1日
ベルク通信とベルクのホームページで、ルミネから立ち退きを迫られていることを公表。

07年12月20日
ルミネエスト上野店長からベルク店長宛に警告書が郵送される(配達記録)。
ベルク発行の商品券の図柄にルミネの商標「ルミ姉」が無断で使用されている、よって即刻販売を中止し、販売した数及び回収した数を報告せよ、またベルク店長がベルク公式ホームページに公開した文章にルミネの信用を損ねる箇所がある、よって即刻削除せよという物々しい内容。
商品券は(そもそも、ルミネカードの特典として始めたもの)事前にルミネエスト営業部に見本を提出し、「ルミ姉」の使用のみ許可がおりなかった。発行時点で、その箇所を迫川の作品(新宿の街を撮ったスナップ写真)に差し替えている。「ルミ姉」の無断使用は上野店長の思い違いに過ぎない。
ベルク公式ホームページの文章で問題とされたのは、「カルト的」という表現(私たちが立ち退きの真意を尋ねた際、上野店長は「昨日の自分を否定する」というルミネ花崎社長の信条を念仏のように唱えた。それはまるで新興宗教の信者のようだった)。確かに余計な一言ではあるので削除。
その旨を郵便(配達記録)にてルミネエスト店長にお返事する。

07年12月
お客様のベルク応援ブログが始まる。

08年1月1日
ベルク店内に、ルミネ花崎社長並びにルミネエスト上野店長宛の「ベルクの営業継続を求める請願署名」の用紙を設置。(全国から20000名近くの署名が集まる。2回に分けてルミネ本社に提出。)

08年2月4日
ルミネエスト営業部から、コンサルタント会社による(ルミネ側によれば、社名は絶対に明かせられない)店舗診断の結果が出ている、そのことでお話があるとベルクに呼び出しの電話がある。迫川が社員とともに営業部に出向く。別室に通される。
ルミネエスト上野店長から、ベルクの点数はきわめて悪く、ルミネとしては深刻に受け止めているといわれる。参考のため、どこがどう悪いのか具体的にご教示を願うと、一人でも悪いと感じる人がいれば深刻なのだというトートロジーなお答え。改善レポートを書かされる(店をよくしたいという気持ちは常にあり、前向きに書かせていただく)。

08年3月5日
ルミネエストから申入書がベルク店長宛に郵送される(配達記録)。リースラインが守られていないとのご指摘。

08年3月10日
リースラインからはみ出ていたイーゼルやウェイティング、お花(どれもお客様には評判がよかった)をすみやかに撤去、その旨、郵便(配達記録)にて上野店長にご報告する。
営業を続ける意志をはっきり表明し、退店のお話はお断りしているのに、ルミネエストは「議事録のため」とベルク副店長の迫川を電話で再三呼び出し、正当な理由もなく退店をすすめ、何かにつけて「貴店とは退店について話し合いを進めている」という表現をするので)「退店の話は一方的で、話し合いとは思っていない」「退店をすすめる理由を教えていただきたい」とも。今のところルミネエストからお返事はなし。

08年3月15日
ベルクのお客様がルミネエスト営業部に「ベルクを立ち退かせる訳を尋ねる質問状」を提出。最初、営業部の担当者に拒絶される。再度トライしたところ、別の社員が「受け取ることならできます」と対応。応援ブログに寄せられたお客様のメッセージ集も添えた。今のところルミネエストからのお返事はなし。
その3日後くらいにメッセージ集を受け取ったルミネ社員が突然八王子に転勤。
お客様の一人が、ルミネエスト営業部に電話でその元ルミネ社員の連絡先を尋ねると、個人情報は明かせないと断られる。
ほぼ同時期に、ルミネエスト上野店長が南口のルミネ新宿店の店長に。ルミネエスト木村副店長がルミネエスト店長に。

08年5月20日
JRウォッチ(JRに安全と人権を!市民会議 佐高信代表)がルミネエスト営業部にベルクの立ち退き勧奨中止を求め、要請書を提出。最初本社に掛け合うが断られ、ルミネエストで営業部の担当者が「受け取ることならできます」と受理。今のところルミネエストからお返事はなし。

その後も、ルミネエスト店長名義やルミネ社長名義による事実誤認の警告書や理由なき立ち退き勧告の文書が、度々ベルク店長宛てに送りつけられている(配達記録で)。またお客様からルミネエスト営業部に再度メッセージ集も提出されたが、それに対するルミネ側のお返事はまだない。

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