研ぎの看板
有楽町の外国人記者クラブに「日計り」を展示させていただいた時、知り合いがこの写真を指さして「同じ場所を別の角度から撮った写真があったよね?」と私にたずねるのです。うんうんとなま返事していると「ほら、小さいおじさん!」と念を押され、すぐ思い出しました。そうなんです。その写真には、小さいおじさんがうつっていたんです(笑)!ネットで「小さいおじさん」で検索すれば、その私の撮った小さいおじさんバージョンの写真は見つかるかもしれません。今回はそうでないほうを…。
まあそのおじさんのことはさておき、ここはなぜかひかれる場所なんです。北新宿の交差点の近く。公衆電話とジュースの自動販売機の間に「研ぎ」と目立つ看板が、縦、横、何枚もくくりつけてあって、そこに小さく「雨天中止」「水と金」「包丁…その場で仕上げ」とありました。今はその看板はありません。当時も、こんな道ばたで研ぎ師が実際に包丁を研いでいる場面に出くわしたことはありません。
それにしても、美しい!と昼間の誰もいない道ばたに向かって、ひとりごとをいいながら撮りました。撮った写真は雑誌にのせたり、自分たちの店(ベルク)の壁に飾ったりしました。すると、店を掃除していたバイトの子が「これ何ですか?」と写真を指さすのです。最初、研ぎの看板のことかと思いましたが、そうではなく、看板をくくりつけたポールか何かの上に何かいるのです。よく見たら、小さいおじさんが足をくんで座っていました。どう見ても5センチくらいしかありません。ちゃっかり、私の写真にうつっていました(笑)。もしかして、この方が?
(2014.4)