暗室
9.12.16
1月の『日計り』展に向けて着々と準備は進む……
作業中の迫川尚子の暗室についにカメラがもぐり込みました!って、本人が自分のカメラでひょこひょこ撮ってるだけですが。
(井野)
映像 by 迫川尚子
音楽 by 井野朋也
ホームレスを干す女
9.12.24
いくら写真が大きいからって、ベランダに干すしかないかー
映像 by 迫川尚子
音楽 by 井野朋也
レセプション
10.1.20
JR有楽町駅、日比谷口、電気ビル20階、外国人記者クラブで『日計り』展やってます。寿司バーとメインバーの2カ所。
この展示のために、私、数年ぶりに暗室に入りました。カンを取り戻すだけでも大変なのに、全倍サイズに初挑戦。大きなロール紙を部屋までどうやって運ぶかが最初の難関でした。ひきずるしかないんですけど…追加注文するにしても、次の入荷は春。そのくらい印画紙って、需要ないんですね。
今、全倍を自分で焼く写真家は日本に私だけ?と思えたほど。紙自身もなれない感じ。もう一つ昔と違ったのは、自分の撮った写真なのに、一個の独立した人格と言うか、『日計り』という歴史的産物がそこにはあって、私の方が胸を借りてる感覚になったことです。
18日の夜にはレセプションを催していただきました。20名まで呼べるとのことでしたので、身内のベルク・スタッフ、両親、弟夫妻に参加してもらいました(ちょうど20名)。あとは会員の方々。
迫川
映像 by 迫川尚子&迫川英樹
音楽 by 井野朋也
レセプション
宮崎智子編
10.2.16
写真 by 宮崎智子
音楽 by 井野朋也
『日計り』が
よみがえる
9.12.11
90年代の新宿を
さまよう
『日計り』が
迫川尚子本人の
オリジナルプリントで
よみがえります。
来年、
有楽町で展示。
とりあえず、この
第一弾告知映像の
写真を使って
近々DMも完成の
予定です。
迫川尚子を
代表する一枚、
『北京飯店』
(旧新宿南口)
2010年の
女子美の入学案内にも
使われることに
なりました。
(井野)
写真 by 迫川尚子
音楽 by 井野朋也
写真展『日計り』の
DMとポスターが
できました!
9.12.17
デザインは、川畑あずささんです。
映像の編集と音楽、井野朋也。
◎迫川尚子写真展
『日計り』
空隔の街・新宿
日時:2010年1月16日〔土〕ー2月26日〔金〕11時ー23時
会場:日本外国特派員協会(FCCJ/外国人記者クラブ
〒100-0006
千代田区有楽町1-7-1 有楽町電気ビル北館20F
tel:03-3211-3161
入場料:無料
DAY IS DONE
10.1.12
『日計り』と私
大松幾子先生は、全国に沢山のお弟子さんがいる朗読の大先生だ。私は先生になぜか可愛がられた。娘と一緒に買い物をするのが夢なの、と息子さんを紹介されたこともある。後を継いでほしいとのことだった。先生は、私がベルクで働いているのをご存知だった。でも、一生の仕事とは思われなかったのだろう。ベルクが忙しくなるにつれ、私はだんだん朗読から疎遠になった。ある日、先生から連絡があり、お会いした。イヤリングをいただいた。先生は大病の後だった。もう一度、後継者にと説得された。嬉しかった。と同時に、ベルクがいかに大事か、どう説明すればわかっていただけるだろうともどかしくもあった。私の上司でもある、迫川尚子の写真集『日計り』が出た時、それを先生にお送りした。すぐお手紙をいただいた。この方はきっと優しくて厳しい方ね、アングルが的確で、その中に暖かなまなざしがあると先生の感想が書かれてあった。私がどういう環境にいるか、察していただけたのだ。文面からそれが伝わってきた。もしかしたら、私は優秀な弟子なのでなく、頼りなくてご自分で育てようと思われたのかも知れない。だから安心されたのかも知れない。数年後、先生はなくなられた。最後まで朗読の現場で活躍されたそうだ。『日計り』は、私にとっても特別な意味を持つ本なのだ。
今香子
word & music by NICK DRAKE
photo by NAOKO SAKOKAWA
撤去の朝
10.3.1
有楽町のプレスクラブでの『日計り』展、無事、終了致しました。ありがとうございました。無事とは書きましたが、展示に関しては何の問題もありませんでしたが、けっこうヒバカリは暴れん坊で。2004年の発表当時も店のガラスが割れたりなんかして(もっとすごいことも…)一波乱も二波乱もあったのです。今回も色々ありましたが、厄をはらってくれたでしょう。いよいよ撤去の日の朝。まだ照明もついていない会場の自然光のみで撮られた映像。ふつうのギャラリーやベルクではありえない光景ですね。
(井野)
沢山の方に来ていただいて、ありがとうございました。外国人特派員のサロンというとても素敵な場所だったんですが、わざわざいらしたお客様にはちょっとわかりにくかったでしたね。エレベーターで最上階に降りると、一見ものものしい雰囲気。特に案内もなく、エレベーターから降りれずにそのまま帰られた方もいたようです。残念!最終日もDMをもってウロウロされている方がいたので声をかけると、「ベルク・ファンです!」と喜んでいただいて。カバンにベルク・バッジが全種付いてて、こちらこそ感激。ずーっと会場にいられたらよかったんですけど。またやりますんで。よろしくお願いします。
(迫川)
井野「キャプションを途中からつけたよね」
迫川「店長の提案で。撮影した場所と年を」
井野「いつもつけたがらない」
迫川「意味がついちゃうかなって」
井野「一つ一つの写真には色んなエピソードがあるじゃん。俺なんか、それ聞きながら見れて面白さ倍増なんだけど」
迫川「そうなの?」
井野「例えば、これ、新宿の中央公園?」
迫川「ホームレスが何列かで並んで、順番にボランティアの方に散髪してもらってるところ」
井野「ぼーずと張り紙があって、そこに知らないで並ぶとぼーずにされちゃう」
迫川「寄らずに引いて撮ったので、気づく人は気づくかな…」
井野「そういう解説もあると、親切ではある」
迫川「うちのお客様がこの写真を見て、お母さんだ!!って」
井野「どっち?ホームレス?ボランティア?」
迫川「ボランティアの方。こんなことしているの知らなかったって」
井野「偶然?」
迫川「そう。よくあります」
井野「偶然といや、あの寅さんの写真」
迫川「段ボール村最後の日。火事のあとに住人のホームレスたちが自主撤去して、その日、初めて撮らせてもらったんです。他の住人はけっこう撮らせていただいたんですけど」
井野「取材カメラマンはみんな殴られてるって?」
迫川「女には手を出さない。でも、やっぱり近寄りがたくて」
井野「最後の日、意を決して声をかけた」
迫川「そうしたら煙草を持って、ポーズきめてくれたんです」
井野「元ヤクザというのは聞いてたけど、この写真を店に飾ったときにうちのお客様で元ヤクザの幹部がいらっしゃって」
迫川「いかにも優しげな、ふつうのサラリーマンですが」
井野「その方にうちは2度助けられてる」
迫川「お客でちょっと迷惑な酔っ払いがいて。ふだんあんなにもの静かな方が突然どすをきかされ、酔っ払いの酔いはいっぺんに吹き飛び」
井野「ひょんなことでその方の身の上話をうかがうことがあって、昔は私もちょっとぐれててと」
迫川「寅さんの写真を見て、なんでこいつがここにいるんだと」
井野「寅さんの指、今はないんだよね。つめたんじゃなくて」
迫川「中央公園で爆発事件があったでしょ。ゴミ箱のところに不審物があって」
井野「ホームレスはそういう怪しいものには絶対手を出さないというのに」
迫川「責任感強いから確かめるのは自分と思ったらしいよ。まさか爆弾とは思わないし。ついてないよ。でも、一命はとりとめました」
井野「今回、お客様の反応も面白かった。批評家の中島一夫さんと薫さんご夫妻が大阪からわざわざいらっしゃって」
迫川「ごいっしょできて、ほんと楽しかった!」
井野「薫さんが、これ、昭和だと」
迫川「実際には、平成ですけど」
井野「お豆腐屋さんの店先でしょう?お店の人が水をまいたら、通りがかりの女の子が思わずシェーのかっこう」
迫川「シェーって今の人わかるかな」
井野「ジョン・レノンもした」
迫川「商店街を子供がお買い物。確かに昭和だ(笑)」
井野「よく見ると、この女の子おなかのあたりに名札をつけてる」
迫川「薫さんが発見したんです。ここまで大きく引き伸ばさなかったらわからなかった」
井野「学校名と氏名が何とか読める」
迫川「今、ありえない。子供が名札をつけたまま外を歩くなんて」
井野「だから昭和なのか」
迫川「この写真を毎日新聞にのせていただいたら、新聞社にこのお豆腐屋さんの甥っ子さんから電話が入ったそうなんです。ちょうどその月、お店が40年の歴史を閉じることになって、記念にこの写真をプレゼントしたいって」
井野「新聞社から連絡が入って、すぐ額縁に入れてお送りした」
迫川「写真を世に発表するって、こういうことかと」
井野「雪の写真。これ外国の人が驚いたでしょう」
迫川「ジェフ・リードさん。イギリス出身の画家。世界中のホ-ムレスを絵に残している方」
井野「ジェフ・リンって言ってなかった?」
迫川「似てるよね?」
井野「雪の日、ホームレスが路上で寝ているこの写真をご覧になって、なんでシェルターに入れないんだ!と」
迫川「日本ではある意味見慣れた光景が、外国の人には驚異だった。そのことに私は驚きました」
井野「プレス・クラブではゆっくりできたね」
迫川「店長は、スタッフの方々からフードファイターと名づけられました」
井野「安くておいしい。会員の特権」
迫川「期間中だけ私も仮会員ということで3人までゲストが呼べたんです。連日、ベルクのスタッフや親戚、知人と飲んで食べて満喫させていただきました。外国人記者のサロンですから、昼からワインを飲みながら打ち合わせとかしてるんですね」
井野「撤去の朝、ぎりぎりで田島燃さん、ちかさん夫妻も来て下さいました」
迫川「梱包、運送までして下さって。助かっちゃった」
井野「その前夜、二人でささやかに打ち上げしたのが」
迫川「ここよかったね。タバコ・スポット」
井野「プレス・クラブは全面禁煙。最上階から一階まで降りていって、ビルの横の喫煙所でよくタバコを吸った。映像のラストにでてくる写真も、ここ。あなたがライカと煙草を持って」
迫川「『日計り』は、このライカで撮りました」
映像&写真 by 迫川尚子
音楽 by 井野朋也
歌舞伎町1丁目
〜『日計り』表紙の場所へ
ふたたび
9,4,18
映像 by 迫川尚子
音楽 by 井野朋也