店長の都市論 街はくねくね of 写真とベルクのあいだでⅢ



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写真とベルクのあいだでⅢ

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「店長は再開発反対なんすか?」
「いや、都市計画そのものに違和感があって」
「何が不満なんすか」
「街なんてあんまり計画するもんじゃないって」
「僕たちが安全に快適に暮らすためじゃないすか」
「街をどうとらえるかで、考え方も変わる。街って、英語で何」
「シティ‥タウン‥」
「ほら。もう計画的視点。街を俯瞰してる」
「計画するからには、全体を見通すっしょ。でも店長。街がシティでないなら、何すか」
「ストリート」
「道っすか」
「くねくね曲がりくねって、枝わかれして、どこに通じるかわからない」
「なるほど、計画、放棄すね。迷子になりそうっす」
「それが街の醍醐味じゃん」
「そうすか?」
「俺はさまよいたいだけなのよ」
「ご勝手っす」
「計画的な道って、やたら広くてやたらまっすぐでやたら移動するだけで。飽きちゃう」
「みんな忙しいんす。くねくねなんかしてられないすよ」
「くねくねしよ~よ」
「気持ち悪いすなぁ」
「あんまり街がきれいでぴしーっと整備されてると、自分のうちをぐしゃぐしゃにしたくなるね」
「店長のうちがどうなろうと知ったこっちゃないす」
「いや、俺のうちはいつもきちんと整理されてるよ」
「でしょ?そのほうが快適っしょ?」
「じゃー再開発って、街をまるごと手の行き届いたおうちにするってこと?」
「街もおうちも快適。いうことないじゃないすか」
「じゃーおうちから飛び出したくなったら、どこへ行けばいいの」
「山とか海っす。アウトドアっす」
「いいね。山の中をさまよって、カモシカと目があったりしたらスゴいよね」
「やっぱ、さまようんすか」
「外に出るってそういうことでしょ」
「カモシカと目が合うのがすか?」
「さすがにおうちの中じゃ、合いたくないじゃん」
「気が休まらないす」
「再開発って、外をなくそうなくそうとしてない?外があることを忘れようとしてる」
「忘れても、台風が来たり原発が爆発したりして忘れさせてくれないすよ」
「原発は絶対安全といわれてきた。つまり、おうちの中にあるはずだった。でも、一番手のつけようのない外だった」
「そうすね。何でも手の内にあると思うのはゴーマンかもしれないす」


(店長)


店長の都市論

仮装パーティーやデモをするために町があるんじゃないの?道端に誰かの落としたゴミや煙草の吸殻がある。誰かが掃除の仕事にありつける。それが町じゃないの?ここはただの通路だ。立ち止まると邪魔だ。ゴミは家に。そんなアナウンスが繰り返されるうちに、町が町であるということを忘れてしまうのです。2015.11