COLUMN of Omake

Where Is Berg?

by Tomoya Ino

「ありがとうございます。ベルクでございます。うちの場所ですか？JR新宿駅の東口改札がございますね、そちらを出られまして」
「出ますか？」
「はい」
「出るには、入りますか？」
「まあそうですけど」
「どこに入りますか？」
「駅ですってば。えーっと、何でいらっしゃいますか？」
「出来心」
「出来心？交通手段は？」
「空飛ぶ円盤」
「そうですか。何でいらっしゃるにせよ、駅を基点にするとわかりやすいですよ」
「駅のどこに降ろしますか？線路の上ですか」
「円盤を？ひかれちゃいます。その前に駅じゅう大騒ぎです。もっとさりげなく、駅に入りましょう。電車にのるのが一番ですが」
「電車はのるものですか？はりつくものでなく？」
「はりついてもいいです。とにかく新宿駅のホームに降りて、じゃなくはりついて、階段にはりついて、改札にはりついたら、出て下さい」

「出たら、ベルクですか」
「改札を出たら、ほぼベルクに着いたようなものです」
「ほぼとは？何％？」
「98％」
「２％は何ですか」
「今日もベルクはあるだろうか？というスリルとサスペンスですね。それも、ほんの数歩の間ですが。すぐベルクはありますし、あれば何とかなってしまうので。おいしいコーヒーやビールが待ってますよ。ああ、なるほど、でしたら改札出て、そのまま左に壁づたいにいらっしゃった方が確実ですね。ルミネのエレベーターの扉が開かないのを祈りつつ、パン屋さんの厨房に迷い込んだら、決死の脱出を試みて、続く有料トイレ（現在帽子屋さん）はお金を入れなければ、比較的通過しやすいでしょう。立ち食いそば屋さんまで来れば、あと一息。通路を越えるだけです。壁にはりつくと、確かに踏まれずにすみますが、結構山あり谷ありですね。目印は、おいしいコーヒーをどうぞの看板です。え？目はない？失礼しました。触覚器官ばかり発達してる？触感で何でも識別しちゃうんだ。ベルクの触感か。うーん何だ？ざわざわ？違うな。ぬくぬく？ぷちぷち？」

身近にあるのに、いざ探すと見つからない。言葉にすると得体が知れない。そういうものって、ありませんか？私にとって、ベルクは（自分自身も）そういうものです。
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