迫川尚子写真展「種(たね)」

「所有と私有はちがう。」
柄谷行人さんの、この言葉が頭からずっとはなれません。
例えば、農民は自分の土地にビルを勝手に建てたりすることはできません。他の土地に悪い影響が出るからです。
自分の土地といっても、私有ではなく、所有しているだけなんですね。
今年の3月11日、地震で都心の電車が全線止まり、さらにJRが駅を封鎖したため、大勢の人が行き場を失いました。
後からJRの社長さんがお詫びのコメントを出しましたが、この場合も、駅はJRの私有物じゃない、ただ所有してるだけといえると思います。
今、所有という言葉が弱まり、何でも私有できるという考えに傾いています。
そして行き場を失う人が増えています。
駅は誰のもの?
街は誰のもの?
海は誰のもの?
地球は誰のもの?
猫は誰のもの?
誰のものでもない。
誰のものでもある。
もう一度、みんなで問い直さなきゃ。
種が風に吹かれて、まいあがります。
私もあてもなくさまいよいます。


(迫川)