ベルクに18名の高校生がやってきた! of Sakokawa Site

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大人になるための遠足

2013.7.26

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前代未聞!高校生で埋め尽くされたベルク!
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photo. by Naoko Sakokawa

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授業担当者から

校外学習「大人になるための遠足」は3年生の国語科選択科目「現代文の探求」の授業(受講者70名)の一環として行ったものです。
2学期の授業で現代社会のあり方について経済(お金)をテーマにした評論(岩井克人『貨幣論』など)を教材に取り上げ、問題演習による読解学習を行うのですが、その学びを広げ、深めるために、このような体験学習をデザインしました。
「物・サービスの提供を通して社会にアクセスし、人をしあわせにしている人・場」を取り上げ、実際に現場でその人の仕事にふれ、考える。
これがこの遠足の目的でした。
生徒には事前にベルク本をもとに「ベルク」についてレクチャーし、「まっとうな物・サービスを提供し、人をしあわせにする」ことについて話をしました。
その話を聞いて「ベルク」に出会いたいという18名が参加を希望しました。
参加した生徒は「ベルク」との出会いを通して得た「大人になるためのヒント」をレポートにまとめ、それを僕が教材にして他の生徒とシェアすることになっています。
生徒が「ベルク」からどんなヒントを得たか、楽しみです。

嘉登

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「ベルク」について知りたいこと

嘉登先生

残暑お見舞い申し上げます。
ベルクの井野です。
夏休み真っ盛り!ベルクも旅行者のお客様が多く、バカンスムード満点です。私もどこか連れてって!
すみません、暑さに頭が少々やられております。
いかがお過ごしでしょうか。
生徒さんたちから頂いたご質問にお答えするのが楽しくて、つい調子にのってだらだら書いてしまいました。
よかったらご笑覧ください。
生徒さんたちにお見せしていいものかどうかはわかりませんが、先生のご判断におまかせしてよろしいでしょうか。
よろしくお願いいたします。
厳しい暑さですが、休み休みのりきってまいりましょう。
では!

ベルク店長 井野


1 どうして「ベルク」には人が集まるのですか。
それは私もよくぼーっと考えます。「ベルク」に限らず、新宿には沢山の人が集まってきます。目的は様々でしょう。いや、特に目的がなくても、人は流れ着くように新宿にやって来ます。元々、そういう流れ者たちによって生まれた街が新宿でした。私も、新宿生まれの新宿育ちですが、なぜかここに流れ着いたという感覚があります。

2 なぜ、この仕事に就いたのですか。
感覚的にいえば、「秘密基地」が作りたかった。「アジト」と言うべきでしょうか。もっとおしゃれに「隠れ家」でもいいのですが、「アジト」のほうがヤバい感じがしてワクワクしません?いえ、ヤバいのは「アジト」のほうではなく、世の中のほうかもしれません。そこから身を隠し、呼吸を取り戻す場所がアジトでしょう。それが、新宿駅構内のど真ん中に堂々とある。盲点じゃん!と思いました。

3 なぜ、こういう店をやろうと思ったのですか。(複数)
どういう店にするかはいつも手探りで、最後まで結論が出ない気がします。ただ、土台をどうするかは最初から重要でした。売上のいい店にすること。それだけは決めていました。それがベルクの土台です。売上がいいとは、商品がいっぱい売れること、飲食店の場合、次々にお客様の利用がある(回転する)ことです。しかも、1日だけじゃ意味がありません。あまりムラがあってもダメです。月単位、年単位でよくなくてはなりません。売上がよくてもすぐに儲かるわけではありません。というより、そうそう儲かりません(笑)。売上をよくするには、接客や店の雰囲気も大事ですが、決め手は商品の魅力です。そのためにはある程度高価な道具や食材が必要になります。しかし、値段のアップはそうそう容易ではありません。値段の高い商品は、いくら美味しくても(ベルクのようなセルフサービスのスタンド店では、特に)魅力が半減してしまうからです。コストはかかっても値段は抑えなければならない。だから、むしろ利益は減ります。それでもお得意様がどんどん増えて、売上がコンスタントに維持できれば(無駄遣いやロスも減らせられれば)、少しずつ蓄えができます。また売上がよいということは、多数のお客様に支持されているということです。それが店の信用につながり、色々な可能性に向かって開かれます。

4 接客の際に心がけていることは何ですか。(複数)
広い心(笑)。
まあ、でも店員って、不思議な役回りだと思います。お客様の言いつけを守る召し使いでありながら、お客様をもてなす店の主人でもある。その二つを同時に演じるのですから。一方、お客様も店において「客」という主体的でない(招かれる)立場にありながら、堂々と「様」が付くえらい存在でもあります。それもまた絶妙な役回りと言えるでしょう。とは言え、コーヒー200円、生ビール300円の気楽な大衆店です。肩肘ばったルールやマナーは無用です。ただ、それぞれの役回りをお互いさりげなく演じられるかどうかは、お客様の協力も必要です(むやみに威張り散らすのでは、かえって品格を損ないます)が、やはり私たち店員がいかにうまくリードし、演出するかにかかっています。ちょっとわかりにくいですね。お店を一つのお芝居としましょう。面白いお芝居になるかどうかは、役者さんがその役になりきれるかどうかにかかっています。それに少し似ています。実際、私も接客の際、信長につかえる秀吉(気がきいて頼りになる家来)をイメージしたりします。ただお店の場合、お客様もそのお芝居に参加します。そりゃ、いきなり本番じゃ緊張しますよね。私ならパニクります。パニクらずにその役を演じて頂くにはどうすればいいか。そこが私たち店員の腕の見せどころです。どうぞおまかせください。

5 「ベルク」を経営していてたいへんなことは何ですか。
たいへんと言うか、ベルクに限らずどのお店もそうでしょうが、経営者には常にお客様に飽きられちゃうんじゃないかという不安がつきまといます。店にぬかりはないかチェックしたり、 よその店を覗いて自分の店と比べたり、流行を(飲食の世界にも流行はあります)追ったり、右往左往します。ただ、経営者があまりうろたえた姿を見せると、お客様もスタッフも不安になってひいてしまいます。表向きは何事もなく、確固たる信念をもっているかのように振る舞わなければならないのです。

6 人気メニューは何ですか。
トータルで売れているのは、コーヒーとか生ビールとかホットドッグといった店の看板商品ですね。ただ、どの商品がどのように人気があるかは、トータルの数字ではつかめないところがあります。例えば、月に1個しか売れない商品でも、毎月確実に売れれば、根強い人気商品ということになります。つまり、同じ人が月に一度頼まれるのですね。その人の中では、人気ダントツナンバーワンなのです。まあ、月1個という販売個数はコンビニとかだったら消える数字ですね。トータルして販売個数の少ない商品から消されますから。しかし、私たちは日々現場に立っていて、その商品を頼まれる人のお顔もわかります。だから消せないというより、消す必要がない。たった月1個の商品のために注文やスタンバイをするのが面倒と思えば消すでしょう。しかし、私たちはそれを面倒とも無駄とも思わないからです。

7 なぜ、お店を続けていこうと思うのですか。
これは難問です(笑)。やめるという選択もありますから(笑)。もちろん、生活がかかっているから簡単にやめられないですが、もしこの仕事に嫌気がさしたり飽きたりしたら、真剣にやめることを考えるでしょう。また、お客様に見放されたら、やりたくてもやれません。今やめていないのは、そのどちらでもないということです。お店にも寿命があると思うのです。まだ寿命が尽きていないということでしょうか。最初の質問でもお答えしたように、ベルクはどういう店か結論が出ていないところがあります。むしろ、こんなのもあり(お客様の無理な注文にお応えしたり、実験的な試みをしたり)というのがなくなったら、ベルクはベルクでなくなる。まだまだ成長過程にある。変化し続けているということです。なるべく最後まで見届けたいのです。

8 お店をやってきたなかで、大変だったことは何ですか。
毎日が大変です(笑)。毎日、何かしらあります。お客様が突然倒れたり、スタッフが突然泣きだしたり、コーヒーマシンが急におかしくなったり。でも、長年働いていると経験やカンや技が身についてきます。異常をいち早く察知し、打つべき手が打てるようになる。そうなりゃもう、何でも来い!です。平穏無事な日はかえって物足りない。なんてウソです。何事もなくぼーっと過ごせる日もたまにはほしいです。

9 店名の「ベルク」の由来は何ですか。
アルノルト・シェーンベルクというオーストリアの作曲家の名前からとりました。名付け親は、先代、つまり私の父です。シェーンベルクは、西欧ではバッハやベートーベンに並ぶビッグネームだそうです。でも、有名なわりにあまり聞かれない。ベルクでも、BGMで10年に一度くらいはかかります。なぜ店名にもなった作曲家の作品が、店では滅多にかからないのか?お聴きになればおわかりになるでしょうが、サスペンスドラマのBGMの元祖とも言われるだけあって、食事中に落ち着かないからです(本当は不思議と情感的な音楽なのですが)。なぜシェーンベルクだったのかは、父に聞きそびれたままです。

10 お店でアルバイトをしたいという人は多いですか。
うちは毎日バンド演奏しているようなものです。バンドはベースでもドラムでも一人欠けたら音楽にならないでしょう。うちも連係プレーで回しているので、一人でも欠けたらお手上げです。ただ、スタッフには学生や役者やミュージシャンが多く(メジャーデビューしたスタッフがうちには二人います)、試験や舞台やコンサートがあるとそちらを優先します。その時、穴があかないようみんなで予定を見せあって、都合をつけています。単純に言えば、スタッフが多ければ多いほど助け合える。店は絶えず忙しいので、一人足りないより一人多いほうがいい。だから、新人さんはいつでも大歓迎。アルバイト希望はわりとひっきりなしです。ただ、選ぶのに困るほど多いわけではありません。相性もありますしね。こればかりは一緒にやってみないとわからない。よほど条件が合わない(チョー短期とか言葉が通じないとか)限り、まず研修に入って頂きます。しばらくやってみて、それからお互いやっていけそうかどうか話し合って決めます。時給900円。毎月昇給あり。大入りあり。美味しいまかないつき!ぜひ、あなたも!

11 23年間、お店を続けてこられたのはどうしてですか。
なぜ無名の個人店に過ぎないベルクが、これほど多くの人に支持されるのか?というあるお偉いさんの質問に、うちの副店長は「日々の努力」と答えました。いかにも優等生的ですが、カッコつけたわけじゃなく、実感から出た言葉だと思います。振り返れば23年ですが、1日1日を大事にしてきた結果‥としか言いようがないんですね。

12 長く愛される秘訣は何ですか。
私はもちろんベルクを愛していますけれど、お客様にベルクが愛されていると実感したのは、ある新商品を発売した時でした。注文されたお客様に配ったアンケートを回収して読むと、コメント欄に、「ベルク大好き!」とか「愛してるぜベルク!」といった言葉が飛び交っているのです。びっくりしました。2度目は、家主の駅ビルから出ていけと立ち退き命令が出た時、営業継続の請願書を店に置いて、あっという間に2万人近い署名が集まりました。その欄外にも「ラブ!ベルク!」「負けるな!ベルク!」といったメッセージがやたら書き込まれていました。店冥利につきました。新宿駅の人の渦にひたすらのみ込まれ、目まぐるしく回転するセルフサービスの店です。まさかこんな沢山の「愛」で溢れるとは思ってもみませんでした。たぶん、お客様もご自分で書かれてビックリされたのではないでしょうか。ふだん、あまり意識しないと言うか、いつものように何となくベルクに寄ってみて、鉛筆を渡されて、不意に見つけた言葉が「愛」だったのではないか、と。
愛される秘訣というご質問へのお答えにはなっていませんね。お答えできる質問かどうかもわかりません(笑)。ふだんは愛されることを考える暇さえないほど忙しい店ですが、何かあった時にふと「愛」に気づく。そういうことは、あまり要求したり期待したりしても、かえって裏切られたりガッカリするだけでしょう?「愛されることより愛すること」というビートルズの有名な歌詞がありますが、愛されることを考えるより、自分にとって一番大切なことは何か、それだけを考えればいいような気もします。
すみません、えらそうに。

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生徒さんの感想

「ベルク」を訪ねて

神奈川県立荏田高等学校 3年生 男子

 夏休みの校外学習で「ベルク」に行くことを聞いたとき、「社会経験をするにはいい機会になるだろう」と考え、参加しました。東京にも喫茶店にもほとんど行ったことがないので、「ベルク」が東京の新宿にあるのと独特の雰囲気があると聞いて、さらに興味を覚えたのです。
 当日は、ほとんど遊びに出かけるような感覚で出発しました。正直に言いますと、この日が楽しみで仕方がありませんでした。
 新宿駅に到着し、いったん自由行動になったので自分で「ベルク」を探してみたのですが、迷ってしまい、10分ほど探し続けてしまいました。
 やっとの思いでたどり着き、目に飛び込んできたのは店の外装でした。思ったより黄色く、ろくに事前の下調べをしていなかった自分は少し驚きました。
 店の前で先生から店長の井野さんと、奥さんで副店長でもある迫川さんを紹介していただきました。
 井野さんについては先生から「なかなか味のあるオヤジ」だと聞いていたのですが、うちの親戚のノリのいい叔父に一瞬重なって見えるくらい雰囲気と話しぶりが似ていて親近感がわきました。迫川さんは落ち着いた人柄だと感じましたが、写真を撮っているときの顔がすごく楽しそうでした。今を思いっきり生きているという感じのお二人でした。
 次のアルタ前で、ここに「ベルク」をかまえてからの時の流れや、かつてここで路上生活をしていた人たちの話を聞きました。今では、それを感じさせてくれるのは東口の地下通路に設置されたカラフルな“オブジェ”くらいでしょうか。
 歴史の授業の後は、お待ちかねの昼食です。ベルクドックとブレンドコーヒーを注文し、いざ実食。“ぽりっ”とはじけるソーセージに、しっとりとやわらかいパン。それだけなのですが、むしろそれだけだからこそ、僕が言えるのはそれだけなのです。
 次にコーヒー。カウンターで受け取った時から、いい香りが広がりました。いつも飲んでいるインスタントコーヒーにはまったくない「本物」の香りを存分に楽しませてもらいました。しかし、満足するにはまだ早いと言わんばかりに、ミルクは入れずに目の前の「こだわり」を一口。口いっぱいに広がる心地よい苦みと、ミルクがないのに感じるまろやかさに感動しました。ベルクドックとともに温かいうちに完食しました。
 食べ終えたところで、改めて店内を見渡すとベルクならではの独特な雰囲気がよくわかりました。今まで一度も来たことがないにもかかわらず、何だか安心して違和感なく、この場所にいられるのです。それに加え、隣りにまったく知らない人がいても圧迫感を感じません。まるで「ベルク」がこの場にいる全員を包み込んでくれているような気がしました。井野さんがおっしゃっていた「ベルクが喜んでいる」とはこういうことなのかなと思いました。この後、ちゃっかり缶バッジをもらって「ベルク」を後にしました。
 その日の夜、「ベルク」の食器はすべて石けんで洗っているという話を思い出し、お風呂に入ったとき、自分をすべて石けんで洗ってみました。「次はいつ行こうかな」ごわごわになってしまった髪の毛を気にしながら考えていました。
 最後に、このすばらしい校外学習を企画してくださった先生、自分たち20人を喜んで迎えてくださった井野さんと迫川さん、そしてスタッフの皆さんにお礼を申し上げます。

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NEWS

嘉登(かと)先生が、「平成25年度神奈川県優秀授業実践教員」(教育長賞)を受賞されたそうです!なんだかすごい!聞くところによると、先生の授業がビデオ撮りされ、県に永久保存される‥つまり殿堂入りされるそうです!おめでとうございます!!(13.10.6)

今年の夏、授業の一環でベルクにみえた神奈川県立高校の生徒さんのお一人が、その時の体験をエントリーシートに綴り、ある大学のAO入試に挑戦したら合格されたそうです。面接でベルクについて質問され、「当たり前のことがきちんとできているお店」と答えて下さったとか。メチャ嬉しい!おめでとうございます!!(13.10.25)



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すごいのが届いた。(14.1.28)

2015年夏

嘉登先生

ご無沙汰しております。ベルクの井野です。
大変遅くなりましたが、生徒さんのご質問に答えさせていただきました。どれもベルクの核心にいきなり迫るご質問!ちゃんとお答えしよう。というか、自分自身改めてちゃんと考えようと思っているうちに時間ばかり過ぎてしまいました。本当にごめんなさい。納得いくお答えになっているかどうかわかりませんが、とりあえず送らせていただきます。再質問もお受けします。よろしくお願いいたします。


新宿「ベルク」に聞きたいこと


Ⅰ 「ベルク」について


1 人気の理由は何だと思いますか。

お客様がベルクを利用する理由は様々です。私たちは商売ですので、なるべく沢山のお客様に来ていただけるよう努力や工夫をするのみです。でも一番大事なのは何かと言ったら、信用でしょうか。あの店に行けば裏切られないという信用。それは長い年月をかけて築くしかないものです。


2 なぜレジ一つで回しているのですか。

物理的制約のためです。店が狭くて一つしか置けないのです。予備のレジがないのは不安だし、不便に思うこともありますが、一つのレジを中心に全てのスタッフが回っているので、連携プレーさえうまくいけば流れはむしろスムーズです。


3 新宿で「ベルク」を開こうと思ったきっかけ(理由)は何ですか。

あの場所で店をやっているのは、親がやっていたからですが、子供の頃は継ごうなんて夢にも思いませんでした。大人になってからです。ある日、いつもの見慣れた親の店の前に立ち止まって、ふと凄い場所だと思いました。新宿駅という世界一乗降客数の多い大ターミナルのまっただ中です。ふつうはやりたくてもやれない場所です。だったらやらせていただこう、とちゃっかり思いました。


4 ものすごく美味いコーヒーや食品を、この価格設定で提供できるのはなぜですか。

ありがとうございます。初めに店の業態を決めました。うちはドトールさんのようなカフェ型セルフサービスのお店です。価格も、同じ業態のお店(たいていチェーン店ですが)をお手本にしました。遊園地や野球場のように周囲に競合店がない場所でしたら、セルフで多少値段が高くてそこそこの味でも強気になれますが、(競合店だらけの)街中にあるセルフの店は、やはり安くて早くて美味しくないと(自分で運ぶのは面倒なので)なかなか利用してもらえません。安くて美味しいのはコスト(お金と手間隙)がかかります。どうせならギリギリまでかけて、沢山のお客様に来ていただく。沢山売る。いわゆる薄利多売ですね。目が周りますが、お客様の数が多いほど売上も安定しやすい。なれてくれば何とかなります。


5 メニューを考えパンなど食材を選ぶのに、どれくらい時間を費やしているのですか。

一瞬で決まる場合もあれば、何年もかけてアイデアを温めることもあります。商品には売るタイミングというのもあります。いいアイデアだけど、まだ機が熟していないとか。そのへんは専門家に相談したりして決めます。


6 「ベルク」という店名の由来は何ですか。

作曲家のシェーンベルクからとったそうです。創業者の父がある日そうつぶやきました。だから今でも人に聞かれればそうお答えしますが、今一つ自信がありません。40年近くも前のことなので、記憶がおぼろげです。シェーンベルクにはベルクという弟子がいまして、どちらも偉大な作曲家です。父はそれぞれよく聴きました。でも店名のベルクはベルクではなく、あえてシェーンベルクのベルクです。何か深い理由があったのか。今となっては永遠の謎です。


7 一日、どのくらいの客さんがおとずれますか。

平均で1500人です。


8 どうして喫茶店を続けようと思ったのですか。(ホットドック、おいしかったです)

ありがとうございます。ラーメン屋のほうが儲かったかもしれませんね。でも純粋に飲食店がやりたかったというより、あの場所で色々な分野の人とかかわりながら何か面白いことがやりたかった。実際、今のベルクは情報交換の場であり、ギャラリーでもあります。飲食店はとてもデリケートな場所ですから、壁に飾る絵も無難な(食欲を損ねない)ものになりがちです。でもカフェやバーだったら(活気があれば)多少ハメをはずしても「あり」なんですね。先日も作家の坂口恭平さんやミュージシャンの豊田道倫さんがゲリラ的に音楽のミニライブをやりました。いい感じで盛り上がりました。元々父が喫茶店を始めたのも、コーヒーを飲みながらクラシックやジャズやロックを聴く場所にしたかったからです。


9 店に来る人は、どの世代の人が多いですか。

最初は通勤中の中高年の男性客がターゲットでした。いわゆるサラリーマンのオジサンです。オジサンってよほどのことがなければ、仕事帰りの行きつけの店を変えないものです。一度常連になるとずっと通い続けて下さる可能性が高い。当初はモロキュウや冷やしトマトといったオジサン向けメニューもご用意しました。今でもオジサンが店の大きな柱ですが、場所柄、性別や年齢や国や職種を越え、多種多様な人たちがいらっしゃいます。


Ⅱ 料理や扱っている商品について


1 どうしてソーセージがこんなにおいしいのですか。

ありがとうございます。おいしさにも色々ありますが、うちがめざすのは飽きないおいしさです。化学調味料の味は舌にすぐ飛び乗るおいしさですが、食べ続けるうちに飽きてしまいます。うちのソーセージは、肉屋で生まれ育った職人が自分の手(と目と舌)で作っています。肉の選び方や扱い方を子供の頃から身につけています。だから化学調味料に頼らなくても、塩やスパイスの加減で肉のうまみを絶妙に引き出し、かみしめるほどに味わい深いソーセージやベーコンやハムを作ることができるのです。そしてそれらはなぜかいくら食べても飽きません。


2 ホットドックがとてもおいしかったです。食材に何かこだわりがあるのですか。

ありがとうございます。こだわりはあります。でも、こだわりってそこまでやらなくてもいいことをやってしまうというちょっと病的なニュアンスがありますね。仕事の場合、やりすぎはよくない。少なくとも人に強制することはできません。やるとしても、自分だけでこっそりやる。それがこだわりです。自慢することではないのです。


3 ホットドックがすごくおいしかったです。パンは美味しかったし、ソーセージは一口かじると「パキ」っとしてケチャップをつけなくても十分おいしかったです。どうしてソーセージにこだわろうと思ったのですか。

ありがとうございます。最初はコーヒーにしてもパンにしてもソーセージにしても、こだわるという発想はありませんでした。お客様も安い店にそこまで期待はしないだろうし。でもこだわりって、先ほども言いましたようにそこまでやらなくてもいいという意味ですが、やってもいいのです。自分たちの店ですし、自分たちさえ楽しければ(誰も苦しまなければ)。職人にもそれぞれこだわりがありますが、私たちにもあります。この職人の作った食材でなければ扱わないとか、冷凍や作り置きはしないとか(他にも色々細かなこだわりが)。その微妙な、でも決定的な違いに、実はお客様も(特に赤ちゃんは)敏感です。当然と言えば当然ですが、こだわらなかったらわからなかったことです。


4 プリンのキャラメルは甘いだろうと思っていたのですが、甘くなくてびっくりしました。どうして苦い味にしたのですか。

昔ながらのプリンですね。今は甘いプリンが主流なので、それに対抗して「苦いプリンがあってもいいじゃないか」というキャッチコピーを付けてもいいかもしれません。うちでは人気商品の一つです。ビールのおつまみにされる方もいます。


5 アレッポ石鹸は加齢臭にも効果があるのですか。また、なぜ石鹸の中の色が緑なのですか。

アレッポ石鹸は、汚れが最も落ちやすい石鹸と言われます。主成分はオリーブオイルです。緑色なのはそのためです。売上金はシリア支援に寄付します。


6 ホットドックのパンとソーセージは味が懐かしく、おいしかったです。どんな焼き方をすれば肉汁がたくさんでるのですか。

ありがとうございます。うちではソーセージを焼いたりボイルしたりします。どちらも特別なことはしていませんが、やはり焼きたてやボイルしたてをお出するのがおいしさの秘訣でしょう。肉汁がはじけ飛ぶのは、ソーセージが本物だからです。


7 プリンのキャラメルの部分は、ベルクのコーヒーを使って作ったのですか。苦かったけれど、なめらかで美味しかったです。

ありがとうございます。コーヒーは使っていませんが、使ってもいいかもしれません。


8 初めてホットドックに何もつけずに食べたのですが、本当においしかったです。
プリンもすごくおいしくて、カラメルはちょっと苦くて大人の味がしました。ところで、今まで来た有名人の中でびっくりした人はいますか。

ありがとうございます。人間って不思議なもので、人混みの雑踏の中だからこそ安心して一人になれるというところがありませんか。芸能人も例外ではありません。ただ芸能人はどこへ行っても大騒ぎされて、自宅以外で一人になれる場所がトイレくらいしかありません。でもベルクには沢山の有名人がいらっしゃいますが、皆さんちゃんと人混みの中に紛れて目立たないようにされています。私たちスタッフもなるべくわからないふりしてふつうにしています(ですので、基本的にお名前は明かせません。ごめんなさい)。内心はドキドキですが。


9 ホットドックは一日約何本売れるのですか。

毎日トータルで2000以上の商品が売れています。ホットドッグはその1割を占めます。コーヒーやビールについで売上第3位です。ただ、1日たった1つでも確実に売れる商品もあります。商品のアイテム数が200近くあるので第200位かもしれません。そういう商品も(数が少ないからと言って)なくす訳にはいかないのです。

10 いちばん人気のあるメニューは何ですか。

数で言えばコーヒーやビール、ホットドッグです。ただうちのメニューはアイテム数が非常に多く、しかもバラエティーに富んでいるので、お客様もその時の気分や状況によって注文するものや店の利用のし方が変わります。コーヒー屋だったり、ビアホールだったり、ワインバーだったり、日本酒バーだったり、カレー屋だったり、玄米弁当屋だったりするのです。


11 ホットドックは1日どのくらい売れるのですか

200本くらいです。パンは朝と昼と夜に配達してもらいます。店が狭く、他の食材もいっぱいあるので一度におさまりません。でも3回に分ければ、どんどん売れていくので何とかなります。人も食材も毎日めまぐるしく回転しています。


どれもベルクの本質に迫るご質問ばかりで、真剣に受け止めながら楽しく答えさせていただきました。自分たちの店や自分たちの仕事を再認識するいい機会にもなりました。ありがとうございます!あれから新しいメニューも増えました。ぜひまた遊びにいらっしゃってください。20歳になったら、お酒デビューはぜひベルクで!

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