写真家菊池和子さんからご挨拶



2012.3.1 BERG

ご挨拶
「大震災の爪あと-釜石からのレポート 2011.7~2012.2-」


新日鉄釜石製作所の高炉の火が消えてから衰退の一途をたどっていた釜石市に、昨年の3月11日、巨大津波が襲いました。大型タンカーの接岸する釜石港のはるか沖に作られた世界一の湾口防波堤をひっくり返し、北から大槌湾、両石湾、釜石湾、唐丹湾の湾沿いの住宅、漁港、水産施設を軒並み流し、湾に注いでいた川を数キロもさか上ったのです。死者888人、行方不明者159人をだし、被災家屋は約4500戸になりました。その65%が「浸水想定区域外」に住んでいた人たちでした。「想定を超えることがある」ことを私たちは肝に銘じなくてはなりません。
8月の新盆が過ぎ、震災から半年たった9月ごろには、仮設住宅などへの入居も終わりました。この頃から、人々の顔に次第にゆとりが生まれてきました。茫然自失の中から立ち上がる人々、国や県などの行政の優柔不断にしびれを切らしながらも、全国の支援を励みに明日へと向かう人々を今後も見つめていきたいと思います。
今回の写真展では写真とともにキャプションも重要と考え、あえて長文を付けたのもあります。また、記録として冊子を作成したので、是非手元に置いて一つの具体例として読んでいただきたいと思います。
デジタル写真の引き伸ばしをやってくれたのは、釜石市で父の代からの光陽写真館を営んできた菊池賢一氏です。店は全壊し土台しか残りませんでした。現在は、機材の多くを同業者から贈られて、仮設店舗の中で営業を再開しています。また、今までの釜石行きで知り合った多くの方々の援助で取材が深まりました。心よりお礼を申し上げます。



 菊池和子